岐阜県と愛知県の農業行財政の比較研究
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概要
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昭和40年代の農政は,農業基本法に基づく構造政策と特徴付けられている。しかし行財政の面からこれを見れば,圧倒的に土地改良の農政,土地改良を軸とした農政と言ってさしつかえなかろう。また,土地改良事業それ自体をみれば,その整備内容・水準からして今後とも相当の社会資本の投下が必要であることが明白である。問題は,この整備された農地を,誰が(担い手),どのような機械・施設を利用し,土地利用を行い(経営規模問題,農地の流動化-所有と利用の分離-)どういう経営内容(農業所得や生産性・生産コスト)を実現するかということである。現行の農業行財政でいえば,これは狭義の農業費-農業構造改善費に代表される-の範躊である。岐阜県の場合,「土地改良事業の先行-農業生産組織育成の随行(県単独事業による共同利用組織,農作業受託組織の育成)」これが大きな特徴である。またこれは,愛知県と比較した場合,繊維・窯業等に特化した零細規模の産業構造をもち,より不安定・低位な兼業就業条件(1割がた低い賃金),より少ない農業所得(15%がた低い)という岐阜県農業の条件をふまえた昭和40年代の農政選択の結果だったといえる。こうした昭和40年代の農政を冷徹に見すえたうえで,今後の施策の展開なり転換なりが,今求められている。
- 岐阜大学の論文
- 1988-12-25
著者
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