John Barthにおける二項対立の構図 : The Sod-Weed Factorを中心に
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概要
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ポスト・モダニズムの主要問題は,John Barthの作品においては多くの場合,二項対立の構図を手懸りにして描かれている。二項対立は一方においては,意味の一義性や事物の唯一の在り方に疑問を投げかけ,現実に対する様々な可能な解釈を許容する意味の迷宮世界を構築する。他方において,二項対立の構図をとって分析され,一つの秩序体系を築いた近代西欧文化の合理的知のパラダイムは,Barthによってデコンストラクトされ,そこに潜む虚構性が暴かれている。その結果,作品では事実と虚構の境界線は限り無く曖昧化し,時には虚構の方が事実より重要な価値をもつ場合が生じてくる。又,登場人物にみられる二項対立的なアイデンティティー観には,明確ではあるが固定化された自己から解放され,多くの可能性をもつ自由な人間像を模索するBarthの姿勢が読みとれる。本論ではThe Sod- Weed Factorを中心に,二項対立をとって展開される,Barthの考える認識とアイデンティティーの諸相,さらには二項対立のパターンに内包される上述した問題点を具体的に考察した。
- 富山大学の論文
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