大学病院におけるネブライザーと酸素用加湿器の細菌汚染に関する研究
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概要
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長崎大学医学部附属病院において,使用中の酸素用加湿器,超音波ネブライザー,ネブライザー,レスピレーター加湿器の滅菌蒸留水と薬液の細菌汚染調査及び,関連したアンケート調査を行った.結果は以下の通りである. 1.アンケート調査から,酸素用加湿器及びネブライザー内の蒸留水や薬液の減少時,追加注入を行う病棟が多かった. 2.細菌汚染調査を行った39検体中18検体(46%)から25株の細菌が分離された.分離菌の大部分はブドウ糖非発酵グラム陰性杆菌で,うち8株がBurkholderia cepaciaだった.また,Pseudomonas aeruginosa3株,Klebsiella pneumoniae1株が分離されたが,MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)とLegionella属は分離されなかった. 3.各機器からの分離菌は臨床検体からの分離菌とは一致しなかった. 4.病棟に保管中の超音波ネブライザーの薬液槽及び滅菌蒸留水と薬液からは菌は検出されなかった. 以上より,酸素吸入器やネブライザーの滅菌蒸留水や薬液減少時の追加注入が細菌汚染の原因と思われた.院内感染を防止するため,滅菌蒸留水や薬液の扱いを無菌的とし,吸入液減少時には追加注入せず,残液を破棄して全量交換するよう徹底する必要があると思われた.We conducted a microbiological investigation of the water and the liquid medicine in oxygen inhalers, ultranebulizers, nebulizers and respirators, which were in use to the patients in Nagasaki University Hospital. The results obtained were as follows : 1 . A questionnaire on the management of the water and the liquid medicine revealed that they were added at most wards when they ware decreased. 2 . Twenty-five bacterial strains were isolated from 18 (46%) of 39 samples. They were mainly non-glucose fermntative gram-negative bacilli including 8 strains of Burkholderia cepacia. Three strains of Pseudomonas aeruginosa and one strain of Klebsiella pneumoniae were also isolated ; however, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus or genus Legionella was not isolated. 3 . The sample isolates were not identical to the clinical isolates. 4 . There was no bacterial contamination in the sterile water, the liquid medicine, and the tank of the ultranebulizer, which were placed in custody at the ward. These results indicate that the bacterial contamination of the water and the liquid medicine in the respiratory equipment was caused by an additional injection when they were decreased. In order to prevent the nosocomial infection, we must manipulate the respiratory equipment sterilely, and we must not add the liquid when they were decreased.
- 長崎大学の論文
著者
-
岡田 純也
長崎大学医歯薬総合研究科保健学専攻看護学講座
-
岡田 純也
長崎大学医学部保健学科看護学専攻
-
岡田 純也
長崎大学医療技術短期大学部看護学科
-
宮崎 義継
国立感染症研究所生物活性物質部
-
松田 淳一
長崎大学検査部
-
宮崎 義継
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座
-
松本 麻里
長崎大学医療技術短期大学部看護学科
-
松本 麻里
大阪府立看護大学大学院修士課程
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