<原著論文>記紀萬葉の夢 : 占夢の位相
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今なお生き続ける意義ある夢の基層には, 個人を越えたレベルで, 重層的に積み重なり変容してきたわれわれの世界観がある。本稿では, 文献記録として最古層にあたる記紀万葉における夢の記述から, そこにおける夢の捉えられ方を素材に当時の日本人の世界把握のあり方を考察した。端的に言えば, 記紀萬葉の時代, 神託とト占は重なり合う部分を持つ概念であった。神意を言葉で直接伝える神託は憑依や夢で授けられ, 天意・宇宙の運行を徴で知る占は占象, 夢で象徴的に得られた。そして神意が徴で伝えられる場合, 託宣, 占, 夢のいずれも用いられ, その象徴的な告げが解釈された。また萬葉の夢見は, 単純に呪術とは言えないものであった。そこに見られる請夢には, ちょうど託宣において超自然的存在が人に憑くのと同様に, 個々の魂も人々の間を移勤し, 他者に人って感応し得るという基底的な世界観があったのである。
著者
関連論文
- 教師からの授業メッセージと職業的アイデンティティとの関連
- 看護職の職業的アイデンティティ尺度の作成
- 医療系学生における職業的アイデンティティの分析
- 作業療法士の職業的アイデンティティ研究の展望
- 医療大学における医療情報流通の基盤について
- 本学学生の作業療法士に関する職業観の変容とその要因の検討
- 臓器移植に関する日本人の死生観の影響
- 風土記における国占めと占・夢
- 記紀萬葉の夢 : 占夢の位相
- 明恵上人とその周辺における夢の意味と宗教的背景
- クリオニクスの生命倫理的位置づけ
- QOLとSOL