洗濯による織物の収縮と洗剤の影響
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概要
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手洗いと洗濯機のドライコースで,それぞれ羊毛,絹およびレーヨンの織物を洗濯し,洗濯後の収縮率および厚さ変化と,洗濯回数および洗剤の種類などとの関係について実験を行った。その結果を参考にして収縮に対する洗濯回数,洗濯方法および洗剤などの影響,洗濯による織物の収縮機構および収縮の異方性について考察し,次のような結果を得た。1.本実験に用いた織物(羊毛,絹,レーヨン)はいずれも1回の洗濯でかなり収縮し,羊毛およびレーヨンでは2回目以降も収縮率が増加する。絹の繊維は細く,水による膨潤も比較的小さいため,2回目以降収縮率はほとんど増加しない。2.手洗いでは,洗濯機に比べていずれの試料も,3回目までの収縮率が小さい。手洗いでは外力はほとんど加えられていないが,洗濯機では試料にわずかな振動が加えられているためであろう。3.洗濯による収縮は,水のみで洗濯しても,水に洗剤を加えて洗濯した場合とあまり変わらない。洗濯による織物の収縮は大部分水の影響によるものである。ただし,羊毛の表面は撥水性であり,洗剤の添加により濡れやすくなるので,収縮率および厚さ変化率が増加する傾向がある。4.各試料とも収縮率が大きい方向の糸のクリンプが大きい。また,たて方向の収縮が大きい試料では,収縮によりたて曲がり構造に近づき,よこ方向の収縮が大きい試料では,よこ曲がり構造に近づくため,織物の厚さが増加する。5.レーヨン織物のたて方向の厚さ変化率は収縮率と同程度の値であり,繊維自体の緩和収縮では説明できない。また,水のみの厚さ変化率と収縮率との関係は,原点を通る直線で近似できる。従ってレーヨンの収縮は,主として繊維の膨潤に基づく糸の屈曲状態(クリンプ)の変化によるものと考えられる。
- 和洋女子大学の論文
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