循環機能に関する研究(第4報)
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概要
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今回は, 以上の結果より, 次の3点について考えられた。第1点としては緒論でも述べたとおり, トレーニングを実施したグループと実施していないグループについて, 体育実技I・IIを通して, 被検者の2年間のゆくえを追跡して, そのトレーニング効果が, 3回の体力測定の結果にどのような影響を与えているか, 踏台昇降運動テストの結果の平均値を中心に捉えてみた。その結果, まず1991年4月に大学入試の受験勉強のために, かなり運動不足になっている状態で入学して来た学生を対象に, 1991年度体育実技Iの1年間実施する種目を選択させ, そこでバドミントン種目(畠山担当)を選択した学生とその他の種目を選択した学生とに分類し, バドミントン種目を選択した学生は全員, 1年間の授業を通して, 毎授業時に3分間の踏台昇降運動をトレーニングとして実施した。そして, 4月に新入生全員, 恒例の体力測定を実施し, 特に踏台昇降運動テストの結果を取り上げ, これをベースにして, 体育実技Iの1年間のトレーニング効果を見る。そして, 体育実技IIを履修する際も, 学生自身の希望する種目を選択できるシステムになっているので, 体育実技Iでバドミントン種目を履修した学生が体育実技IIで再度バドミントン種目を選択する学生と他の種目へ移動する学生とに分類し, また, 体育実技IIでバドミントン種目を履修する学生の中でも, 体育実技Iではバドミントン種目以外を履修していて, 体育実技IIはバドミントン種目を履修する学生のそれぞれ4つのグループに分類して, 追跡調査を試みた結果は, 当然毎授業時にトレーニングとして, 僅か3分間の踏台昇降運動を体育実技I・IIと2年間実施した「91・92-バド」グループがトレーニング効果を示した。次にトレーニング効果を示したのは, どのグループかに注目したところ, 体育実技Iでトレーニングを実施した「91-バド」グループと体育実技IIでトレーニングを実施した「92-バド」グループがトレーニング効果を示していたことである。最後にやはり体育実技I・IIとも2年間トレーニングは実施しなかった「一般」グループの結果について注目された。しかし, スタートの時点を見てみると, 「一般」と「92-バド」のグループについては, 「91-バド」・「91・92-バド」のグループより多少体力(心肺持久性)が劣っている状態であるところからスタートしており, 第2回目・第3回目の体力測定の結果から言える事は, 前でも述べたように, 各グループのスタートの条件やトレーニング時期の違いによって, トレーニング効果に多少は差が見られるが, トレーニングを実施したグループは, それぞれに効果を顕著に示している事が体力測定の結果に明確に現われていた。第2点について, 今回の結果から, 一般的にトレーニングの効果を短期間で大きく示したグループは, トレーニング中止後, 元に戻る度合も大きいと言われていた事を, はっきり確認する事ができた。第3点は, 平常脈についてであるが, 前の平常脈のところでも述べているが, 一般的には, トレーニング効果によって平常脈も, 下降傾向を示すと言われているが, 今回の結果を見ると, 特にトレーニング実施中における平常脈の値が, トレーニングを実施しないグループの値より高い値を示しているところに注目された。この現象は, スポーツ選手が試合の直前になると, 異常に脈拍が上昇する現象と同様に, トレーニング実施する直前に平常脈を測定していたので高い値を示していたのではないかと思われる。この現象については, 今後の課題としたい。最後に「一般」グループについて注目してみた結果, 2年間の体育実技の週1回の授業の学習効果について, 3回の体力測定の結果(踏台昇降運動テストに限り)に素直に示されており, 緩やかな勾配を見せて, 体力の向上を示ており, 体育実技の授業が現在の学生の体力(心肺持久性)を向上させているという事実を数値で明らかにし, この貢献している事実を再確認する事ができたという事を見逃す事はできない。以上の結果を見ると, 学生の健康を考える時, 学生の自主性にのみ任せて健康を図るということは, なかなか容易な事ではないと思われる。そこである程度, 学生の体力の維持・増進については, これからも大学の授業を通して指導していかなければならないと考える。この研究の結果が今後学生の健康を維持増進に役立つ事を希望するものである。
著者
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