成長軟骨帯における肥大軟骨細胞のアポトーシス発現
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概要
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内軟骨性骨化においては,軟骨細胞が連続的に成長過程を経て肥大軟骨細胞に成熟する。この細胞の最終的運命については死かあるいは生存し骨芽細胞としての形質を獲得するか未だ明かでない。近年種々の組織の発生,分化において必然的な細胞死であるアポトーシス(apoptosis)の関与が報告されている。今回ラット腔骨近位成長軟骨帯における軟骨細胞のアポトーシスに特徴的なDNA断片化部位についてnick end labeling法を用いて組織学的に検討した。さらにラット肋骨の成長軟骨帯から分離した軟骨細胞のベレット化培養系を用いて,軟骨細胞のアポトーシス発生の有無について検討した。脛骨成長軟骨帯のnick end labeling法による組織学的検討では,肥大軟骨細胞のDNA断片化が認められた。培養成長軟骨細胞は培養2週日よりベレット中心部の細胞が肥大軟骨細胞へと分化し. nick end labeling法にてこれらの細飽のDNA断片化が認められた。さらに培養軟骨細胞より抽出したDNAのアガロースゲル電気泳動法による検討では,培養第1週から3週にかけてアポトーシスに特徴的なDNAの梯子形成がみられた。したがって成長軟骨帯においては,軟骨細胞の肥大成熟化に伴い,アポトーシスの過程によって細胞死を生じることが明らかとなった。さらにこの過程は,軟骨細胞の単独での培養下にも観察されたことより,細胞内にプログラムされている可能性があると考えられた。
- 神戸大学の論文
著者
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平田 総一郎
神戸大学医学部保健学科
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平田 総一郎
神戸大学医学部整形外科
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水野 耕作
神戸大学医学部整形外科
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伊藤 宏
神戸大学第一病理
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水野 耕作
神戸大学医学部整形外科学教室
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藤田 郁夫
神戸大学医学部第一病理
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伊藤 宏
神戸大学医学部第一病理
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藤田 郁夫
兵庫県立成人病センター 整形外科
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伊藤 宏
神戸大学医学部第一病理学教室
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水野 耕作
神戸大学医学部
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