木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 14 報) : 誘電性と異方的収縮 (1)
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概要
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(1) 木材に関する誘電体論と吸着理論にもとづいて絶乾状態における誘電性と吸湿変形とはともに木材中のセルロースミセル表面, 非晶領域等に存在する活性水酸基および房状ミセルに関するものであり, 前者はこれらの高周波電波に対する応答であり, 後者は水分子に対するそれである。しかも両者は相互に直交性をもつ。こゝに, 誘電性に対応する収縮は構成細胞膜自体の収縮の膜量についての積分値, ″収縮積分値″である。また, 前報までの検討結果は, 木材横断面の異方的収縮の本質的機構が木材細胞膜の構造に関するものであることを示唆した。そこで, これに関する実証的追求が″収縮積分値″と絶乾木材の誘電性との関連の検討によつて可能と考える。(2) 木材の誘電性についての既往の成果および改善した測定法による本報の結果は, 絶乾木材の誘電性が横断面において略々等方的であり, しかもカラマツ, Fichte材のように切線誘電率が半径誘電率よりも大きい場合さえ確認され, 異方的収縮と異方的誘電性の対応は木材について否定的である。(3) しかし, 木材を春材, 秋材の層状混合誘電体とした場合, 近似静電的考察によつて, 春材, 秋材ともに, またはいずれか一方が横断面において異方的誘電性を示すものと思われた。そこで, 春材, 秋材に関して異方的収縮に対応する異方的誘電性が期待される。
- 1958-08-01
著者
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