木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 19 報) : 細胞膜の構造と異方的収縮(林学部門)
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概要
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本報の結果から, 木材横断面における異方的収縮と細胞膜の構造について次のことが指摘される。(1)異方的収縮の細胞膜構造における要因は, a.中間層の組織化学的構造および細胞膜において占める割合, b.第二次膜非晶領域の組織化学的構造, c.第二次膜中層のフィブリル傾斜角, 等における切線膜と半径膜の相違である。(2)前項におけるa.とb.の要因は木材中のリグニンに関係するものであり, 木材の異方的収縮に及ぼすこれらの影響は, 要因c.のそれよりもいちじるしい。(3)要因a.は収縮にさいして他の膜層の収縮を制約することによつて, 要因b.とc.は細胞膜中の水分吸着点の分布密度に関連することによつて, 木材の横断面における異方的収縮と関係する。また, 本報で用いた処理法と木材の収縮について次のことが指摘される。(1)脱脂処理は切線および半径収縮, 横断面における収縮異方度に影響を及ぼさない。(2)脱リグニン処理は切線および半径収縮を増大させるが, 処理ブロックの収縮は異常収縮を伴ないやすい。また横断面における収縮異方度は処理によつて減小する。(3)ホルムアルデヒド処理は細胞膜構造単位間の架橋結合の形成によつて, 木材のdimensional stabilityを向上させるものと思われる。また, この処理は木材のdimensional stabilityを向上させる有効な方法であるが, 横断面における収縮異方性を改善しない。
- 京都府立大学の論文
- 1960-09-01
著者
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