木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 18 報) : 竹材の異方的収縮 (2)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
供試モウソウチクの厚さ約50μの木口切片について, 顕微鏡的構成要素の容積割合を求めた結果(Table 1および2参照)(1)稈壁全体において占める皮部・柔組織・維管束および髄層の平均割合は夫々1.7・49.9・42.9および5.0%である。(2)維管束および髄層の容積割合は地上高が大となるほど大となり, 柔組織のそれは減少する。また, 皮部の割合は稍増大する。(3)繊維率および維管束割合は稈壁外側から内側に向つて減少し, 柔組織割合は増大する(Table 3参照)。(4)維管束において占める靱皮繊維の割合は地上高による変動が少いが, 稈壁の外側から内側に向つて明かに減少する。(5)容積密度(Table 4)と繊維率とは正の直線関係を示し(Fig. 2参照), これにもとづく各構成要素の比重の計算値は次の順である。髄層>靱皮繊維>皮部>(竹材)>柔組織維管束の横断面における大きさおよび形状について(Table 5参照)(1)維管束の大きさは稈壁の内側から外側に向うほど小となるが, その差は小さい。(2)維管束の半径方向における最大幅(R)の切線方向におけるそれ(T)に対する比は, 内側部ほど小で, 最内側部においては1以下である。竹材およびその構成要素の収縮についての前報の結果と, 本報で得た顕微鏡的構造についての結果にもとづき, (1)竹材横断面の構成単位はFig. 4に示すように模式化される。(2)竹材の横断面における収縮についての(5)式による計算値(Table 6)と実験値(Table 7)との比較によつて, 竹材の異方的収縮は木材の場合と異なり, 繊維率および維管束の形状等の顕微鏡的構造における要因によるものと思われる。
- 京都府立大学の論文
- 1959-09-01
著者
関連論文
- 木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 15 報) : 誘電性と異方的収縮 (2)
- 木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 14 報) : 誘電性と異方的収縮 (1)
- 木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 17 報) : 竹材の異方的収縮 (1)
- 木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 19 報) : 細胞膜の構造と異方的収縮(林学部門)
- 木材の収縮膨脹に関する異方性の原因について(第 18 報) : 竹材の異方的収縮 (2)