成人自閉症施設の現状と課題 : 厚田はまなす園・おしまコロニー星が丘寮の実践から
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概要
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現在,「成人自閉症施設」は自閉症者の単独法がないため,精神薄弱者更生施設の範疇で運営されている。実際,多くの自閉症者が従来の精神薄弱者更生施設等で療育をうけている。しかしながら,自閉症という障害の特性から従来の障害者処遇の在り方では指導上困難な点が多く,自閉症児者をひき受けた施設が苦慮していると聞く。また,児童施設においては年長化傾向が激しく,親の成人施設へのニーズも高まってきており,各地で自閉症者のための施設づくりが進められている。これらのことからも今後,自閉症児者を受入れる施設が増えることが予想されるが,自閉症児者に対する療育体系は確立されていないのが現状であり,療育内容の充実が望まれている。本研究では,道内の成人自閉症施設を対象に,(1)施設の現状を紹介しながら療育の内容を検討する,(2)現状での問題点を明らかにすることを通して成人自閉症施設の今後の在り方について手がかりを得たいと考えた。その結果,調査対象になった2施設は,いずれも施設設立の経緯,入所者の構成,地域性などで異なる点が多く見られたが,それぞれ独自の方法であるべき療育の姿に向かって最大限の努力がなされている。その努力は個々人の熱意と善意によって支えられている面が大きいのが現状であり,今後,成人自閉症施設がより望ましい方向に発展していくには,個々人の努力のみに頼るのではなく,制度の面からも支えていくことが必要不可欠である。
- 1990-03-12
著者
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