自閉傾向を有する児童の描画指導 : 個に即した指導方法を求めて
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概要
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本研究は,自閉傾向を有する4名の児童について,個別の描画指導を試み,個に即した描画指導の方法を模索した。児童の描画表現は,それぞれの個性と発達段階に特有な一般的な特徴とがからみ合って,独特な表現の違いが生まれる。2つの特質のいずれの一方を見落しても,児童の描画を十分に理解することはできない。筆者は,4人の児童に出会った時の描画を把握し,より生き生きとした描画をめざして,A児には「形を描く」ことを目標にして,イモの絵を描くに至った。B児には「いろいろな対象物を描く」ことを目標にして,旅行の想い出を描くに至った。C児には「人物に動きを表わす」ことを目標にして指導したが,ラポートのついた段階で終了し,目標にした描画の変容までには至らなかった。D児には「立体感や遠近感を表わす」ことを目標にして,透視図的な表現をするに至った。指導の前にラポートづくりに心がけ,無理や強制のない計画を立案し指導にあたったが,反省とつまずきの連続で,筆者の計画通りに進まぬことの方が多かった。指導の中から得たことは,共感に基づく語りあい,共に楽しむ姿勢,先行経験の豊かさ,専門的描画指導の重要性と自閉傾向を有する児童へのより多くの描画活動機会の必要性であった。
- 北海道教育大学の論文
- 1985-03-15
著者
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