登校拒否(不登校)学級卒業生のその後
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概要
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本研究は旭川市内の登校拒否(不登校)学級の中学校を卒業した生徒たちの卒業後の動向について行ったものである。研究の目的は(1)卒業生の卒業後の進路状況と現在の社会的適応状況を把握すること(2)学級に入級した時・在籍時の状況と現在の状況との関連性について検討することである。既に登校拒否(不登校)の予後調査や追跡調査については国内外に数例の先行研究があるが,本研究は通常の中学校に併設する登校拒否学級(行政分類上は情緒障害学級)の卒業生について行ったものである。従ってその機能や性格から考えて,予後・転帰という術語を用いずに,「卒業生のその後」という表題を用いた。本研究で明らかになったのは,登校拒否(不登校)学級を卒業した生徒の多くのは,それぞれ「不登校」を経験し,現在の日本の社会の中で社会生活を営む上で様々なハンディや困難を背負うことが多いと考えられる。しかし,人間の成長にとって重要な思春期に,友人や家族・教師等との信頼関係を回復し,自我の再構築に挑戦できた時,自信を取り戻し,将来に対する希望が沸き,通常よりも多少の紆余曲折を経ながらも社会的に適応して行けるということがわかった。だが,もう一方では児童期から思春期に受けた傷が癒えぬまま不安定な状態にとどまることも事実として見られ,青年期に向けて深刻な課題を残す者もいる。以上の2つの事実をしっかり押さえ,子どもたちが生き生きと安心して自分を表現できる居場所として,また,彼らの心身の成長発達を保障する場として,今後も登校拒否(不登校)学級や適応指導教室等の公的な教育機関の存在は重要な役割を果たすと考えられる。
- 2000-02-10
著者
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村田 昌俊
旭川市立常盤中学校
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三浦 務
旭川市立千代ヶ岡中学校
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武田 公孝
旭川市立雨粉中学校
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林 耕司
旭川市立啓北中学校
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朝倉 明美
旭川市立東光中学校
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伊藤 健治
旭川市立常盤中学校
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郡司 竜平
北海道教育大学大学院
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