管季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その3)
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概要
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「天の下にあるものはすべて,同じ法則,同じ運命のもと,すべては同一の自然の相の下に現れるにすぎない。人間を縛って,この秩序の棚の内に拘束しなければならない」菅季治(1917-1950)の「人生の論理-文芸的心理学への試み」の「前かき」に,モンテーニュからかりたこのことばがある。地上にあるすべてのもの,そして人間すべて上も下もなく同一であり,「宇宙における人間の位置」についての,このただしい自覚がいまや必要だという。現実の人間の,この理念とはなんとひどくかけ離れていることだろうか,たがいに傷つけあい倒し合う人間,かがれ歪んでいる人間,争いのなかの傷つけあう人間を見聞きするくらいかなしいことはない,と菅はいう。本稿では,ひきつづき戦中におけるひとりの哲学徒の,人間心理の内面をとらえた思索と行動(観察と記録)をあきらかにしたが,その文学,哲学,思想,文芸をかりた臨床的な研究方法のなかに,今日のあらたな教育的人間学の構築への手順も期待できると思われる。とくに今回は,菅のキエルケゴールの考察から多くとった。末尾に,「人生の論理」から「孤独」「弱い魂」「たいくつ」の各節を資料掲載とした。
- 北海道教育大学の論文
- 1996-03-15
著者
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