菅 季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その1)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
菅季治(1917〜1950)は,若くして生涯を閉じた,ひとりの忘れられた哲学者であり,北海道が生んだ教師でもある。その残したしごとは,25才から26才にかけて執筆されたものであるが,自由のない,不毛な時代にもかかわらず,その哲学,思想,文学,人間にむけた関心は,知識人としてのたしかな思索のあとをしめしており,その稀有な思想と生き方は,いまに生きつづけている。その核心は,自己同一性がいかにして成りたつか,という自己と他者との関係性,相互関係(はたらきかけ,相互活動)にむけられている,と同時に,同一性における,一人ひとりの内面のうごき,欲望(そのあらわれとしての快と不快)のあらわれ方にたいする,心理・行動の観察(記録)にむけられているのが特質である。菅の遺著「哲学の論理」は,人間のあり方のうちでも「他者」との関係性を追求しているが,これにたいして「人生の論理-文芸的心理学への試み」は,獲得されるべき自己,同時に,そとにあるものをつつみ,みずからをつくりだしていくなまの自己実現のプロセスをえかきだして,感清-情念の世界を基本に一個の人間学の構築をめざしている。本稿は,その成りたち,内容と方法,ならびにその先駆としての意義をあきらかにした。
- 北海道教育大学の論文
- 1994-03-10
著者
関連論文
- 薩長と京都が「なんぽく」を江戸から北に追ったか : 札幌の地下鉄「なんぽく」線を考える
- 菅 季治 ; 「文芸的心理学への試み」序説(その7)
- 菅 季治 ; 「文芸的心理学への試み」序説(その6)
- 菅季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その5)
- 菅季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その4)
- 管季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その3)
- 菅季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その2)
- 菅 季治 : 「文芸的心理学への試み」序説(その1)
- 大学改革と教育者養成
- 西勇教授の逝去を悼む
- 序
- 子どもの思考内容と思考様式について