神戸層群における地すべりに関する研究 (第2報) : 神戸市東簾地すべり地区における地形と土地利用区分の特性について(農業生産工学)

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神戸層群における農地地すべり地のうち, 神戸市北区大沢町東簾地区における地形と土地利用区分の特性について, 次のような結果を得た。1. 簾川の川岸より丘陵にいたる流域に小区画の棚田が多く分布している。このような棚田の分布は第三紀層地すべり地に共通な特色である。2. 地表面の傾斜は, 0°∿13°の部分が全域の50%を占めており, 平均傾斜は14°05′で緩やかである。このような緩斜面における土地移動現象の発生は, 神戸層群の農地地すべりの特性の1つである。3. 地表面上には, 滑落ガイ・キ裂・陥没・上部滑落ガイ跡のため池等に, 地すべり運動による地形ひずみが認められた。4. 水田は1区画がほとんど200m^2以下の小面積であった。水田実耕作面積とケイハン面積の比は100 : 62であって, ケイハン面積が極めて大きく, 土地利用効率が劣悪であることが認められた。5. ケイハンの崩壊被害は50ケ所あり, ケイハン面積の約13%がすでに崩壊していた。6. 地すべり地における耕地はほとんど水田であり, 狭小農地で水稲主体の農業が営まれていることが認められた。7. 北東部と南部の稜線付近に重箱池が多く分布していた。ため池は数が多く, 1個当りの面積は小で, 機能が悪いことが認められた。8. 各所に減反政策による休耕の結果, 再耕不可能になった荒廃地が認められた。9. 道路・水路等構造物に異状変形が認められた。10. 地すべり運動による局部的崩壊は規模が小さく, 面積・幅・高さとも小であった。しかし局部的崩壊の残傾斜角は大であった。11. これらの地表変形はまだ均衡状態に至らず, 将来さらに地形変形の誘因になるだろうと考えられた。12. 地すべりの時間的経過は, 1913,1914,1921,1928,1940,1945,1950,1955年以後毎年の被害として表われていた。13. 土地生産性を向上させるために, 合理的な用水確保が必要である。土地保全策を有効に実施するため, 傾斜面に適した農地整備事業の実施が必要である。14. 地表変形運動の速度は緩慢で, 徐々に変形が進行している。
神戸大学の論文

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