丹波篠山盆地における湿田改良対策研究 : III. 湿田土壤に対する土壤改良剤の効果

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湿田土壤の物理的性質および土壤改良剤の添加による土壤の改良効果に関する以上の実験結果から次の如く要約することができる。(a)湿田土壤は構成粒子が極めて微細で粘土含有量多くまた機械的に整一である。(b)見掛密度, 乾燥密度とともに小で, 且この両者の差が大, すなわち, 空隙量が概して大である。(c)水分恒数は粘土含有量とともに増加し, またP. I.は小範囲のうちにあつて近似している。(d)湿田土壤の団粒率は小さく, 且平均重量直径差においても湿田土壤は僅少である。(e)湿田土壤の透水度は滲透係数(10)^<-6>cm/sec小範囲に存在し, 極めて不透性である。(f) Aerotil, Krilium等の土壤改良剤の添加により空隙量を増すが, 添加量とその増加量は殆んど2次関数的関係をとり急増し, 0.5%添加で最大を示す。(g)土壤改良剤の添加による水分恒数の変化は, 0.12%添加から増加傾向をとり, これにともない有効水分量も増加する。(h)蒸発量は添加により抑制され, 単位時間当りの蒸発量は施用量に反比例して減少している。(i)添加後の団粒量の増加は0.12%添加程度から顕著であり, 0.5%で最大を示し, 0.5%以上添加しても0.5%添加の場合と殆んど同様であつて, 添加量に比例した効果は認められない。なおAerotilは添加時の水分条件で数時間保持し, Kriliumは圃場容水量とP.L.の中間的水分条件で保持した方が団粒保持に最適条件となる。(j)添加による透水度の増加は, 0.24%まで直線的に増加し, 60∿80時間で一定値となる。(k) L.L.値以上の水分条件で添加捏土すれば滲透防止に有効で, 被圧地下水の上昇をも阻止することが可能である。この際0.12%以上中間処理した方がより効果的である。(l)実際に湿田に添加処理する場合は晴天時を見計い, でき得れば予め排水を行い, 前記水分条件のもとに添加すれば有効である。
神戸大学の論文

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