炎症性骨破壊病変に対する免疫組織化学的検討 : HLA-DR陽性細胞の形態学的特徴
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概要
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慢性顎骨骨髄炎や慢性関節リウマチに認められる炎症性骨破壊病変部組織を, 著者らが開発した脱灰法で処理し, 薄切標本を作製, ここに出現する細胞のLeu一抗原, lysozyme, acid-phosphatase, S-100蛋白を光顕, 電顕を用いた免疫組織化学的方法で検討した。その結果, 炎症性骨破壊病変部に浸潤するlymphocyteの大部分はLeu-4(panTcelD陽性細胞であり, TcellではLeu-2a(suppressor/cytotoxic T cell)陽性細胞がLeu-3a(helper/inducerTcell)陽性細胞に比較して多数浸潤していた。非lymphocyte系細胞では, 光顕的観察により, 類円形, 紡錘形, あるいは樹枝状など多彩な像を呈するHLA-DR陽性細胞が多数認められた。HLA-DR陽性細胞とLeu-M3(monocyte/macrophage), lysozyme, acid-phosphatase陽性細胞との比較, およびHLA-DR陽性細胞の免疫電顕的観察の結果から, HLA-DR陽性細胞群は, 大部分macrophage系細胞およびdendritic cell類似の細胞から成ることが明らかとなった。しかし, dendritic cell類似細胞についてはS-100蛋白陰性で, リンパ系組織や皮膚に出現するdendritic cellとは異なっていた。HLA-DR陽性細胞の機能は, 現在のところ明らかではないが, HLA-DR陽性細胞がosteoclastの活性が顕著な部位に多数出現していたことから, 慢性炎症性骨吸収におけるosteoclastの活性との関連が示唆された。
- 東北大学の論文
- 1986-12-01
著者
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