明治・大正期の長野県における公園設立の展開
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概要
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本研究の目的は明治・大正時代に長野県という一つのエリアを対象として,公園開設の動きの広がりを明らかにすることである。そのために市町村誌などの資料から公園に関する記述を探し出し,その内容を整理するとともに,分析した。その結果明らかになったことは以下の3点である。1) 明治6年太政官布告第16号以来,県内に開設された公園は次第に増加していくが,特定の地域に集中して造られたことはなく,分散していた。さらに大正時代になると,公園数は把握できないが,はるかに増大していったと想定される。それは観光名所ともなったような公園造りから,集落単位で地元の人々が自分たちのために造る公園へと,公園造りが変化していったからであり,一般化していったからである。2) 公園の内容は類似している。見晴らしの良い場を公園の地として選び,桜や楓や松を植栽するのが一般的な姿であった。花見や紅葉狩り,そして眺望も楽しむことができたのである。3) 県庁所在地の公園ではイヴェントが行われるなど,情報発信の役割をも担っていた。県内の他地域でも,その中心にある都市の公園は同様の役割を多かれ少なかれ担っていたと推定される。
- 信州大学の論文
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