四倍体コムギとその仮想祖先種の数量分類的関係(農学科)

概要

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四倍体コムギは, 雑種不稔によって, お互いに隔離されている2群, すなわちエンマーコムギとチモフェビーコムギから成る。これら2群は, それぞれAABB, AAGGのゲノム構成を持ち, 二倍体コムギの持つAゲノムを共有している。BゲノムとGゲノムは, 部分的な染色体対合しか起さない為, 部分相同ゲノムであるといわれてきたが, これらの関係は, 必ずしも明きらかにされてはいない。一方, 四倍体コムギの起原についても, 多くの研究があり, 特にBゲノム分析種として, エギロプス属シトプシス節に属するAe. speltoides, Ae. bicornis等があげられてきたが, いずれも確定的な根拠はない。本実験は, 形態の比較研究から, これらの種が, 四倍体コムギの祖先種として妥当であるか否かを, 判定する為に行われた。材料は, 二倍体コムギ, 上記シトプシス節の4種, 両者の人為合成同質及び異質四倍体, 及び四倍体コムギの合計22系統を用い, 主として倍数化に伴う形態の変化と, 合成異質四倍体と四倍体コムギの形態的類似の程度に着目した。形態の分析には, 数量分類の方法を用いた。すなわち, 各系統について33の形質の調査を行い, その結果から, 系統間の相関係数をすべての組み合せについて求めた。こうして得られた相関行列をSokal's weighted variable group methodとCentroid factor analysisの2方法で解析し, 形態の類似度に基づく類縁関係を, 明らかにした。その結果, 本実験で用いた異質四倍体は, それらだけで, 1つの群を構成し, それらは, 全体として両親種の両方にほぼ等しい類縁度を示した。しかし, この群は, 四倍体コムギの群とは, はっきりと異っていた。従って, 形態の類似度に基づけば, シトプシス節の種は, 四倍体コムギの直接の祖先としては, 不適格であると結論される。
琉球大学の論文
1972-12-01

四倍体コムギとその仮想祖先種の数量分類的関係(農学科)

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