タイ国中部における農業水収支に関する 2,3 の考察(農業工学科)
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概要
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タイ国中部では降雨量の大部分は雨季のみに集中するが, 雨季においてさえ降雨量だけではイネやその他の作物の栽培に必ずしも十分でない場合がある。さらに, 雨季の各月の雨量は年による変動が大きい。これらの原因による水不足は, この地域を支配する河川の上流域から流入する自然溢水やカンガイ水によって補われている。近年, 上流域にいくつかの巨大なダムが出来たため, 中部では乾季においてさえある程度のカンガイが可能になった。本報告は, この地域におけるカンガイ計画に利用するために, 農業上の水収支に関連のある2,3の点について研究結果をまとめたものである。結果は次のとおりである。1.雨季の入りと明けの日は, 中部では表1のとおりである。2.各地において, 雨季の各連続30日間の少雨ひん度を求めるとその時間的分布は図4のとおりである。3.各地における少雨量の非超過確率は表2のとおりである。4.自然降雨で不足する分を補うための水田補給水量を推定できるように, 各地の水不足の確率を推算した。その結果は表6のとおりである。また, サトウキビ畑の水不足の確率も推算した。その結果は表7のとおりである。5.雨季最盛期の8月と9月の合計降雨量について, 中部と上流域との間の単純相関係数を求めた。これは中部3地点と上流域4地点のそれぞれの地点平均雨量を使って計算したが, その値は-0.56になった。t-分布検定によると, かなり高い有意性を示す値である。これは, 両地域でこのころの雨量にかなり高い負の相関があることを示している。中部における水収支からみて望ましい傾向である。
- 琉球大学の論文
- 1980-11-29
著者
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