クリ樹の耐凍性に関する研究 (IV) : 品種間の耐凍性の差
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概要
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クリ品種の耐凍性の大きさの差およびその機構を知るため, 初秋から萠芽期にわたって1年枝の耐凍性の季節変化を調べた。耐凍性の測定と並行して2,3品種の含水量, 細胞の浸透濃度, 低温処理効果についても調査した。1. 10月下旬または11月上旬には大部分の品種は-5℃で3時間の凍結に耐える様になる。9月下旬ではまだ耐凍性はないし, 低温処理を行っても耐凍性は増大しない。10月下旬以降含水量が50%前後に減少し, 剥皮が困難となる頃より低温処理は有効となる。2. 冬期品種間には, 耐凍性の大きさにかなりの差が認められた。1年枝が3時間の凍結に耐え得る最低温度は強い品種と弱い品種では夫々, 芽では-15℃∿-10℃で皮層では-21°∿-10℃であった。3. 萠芽初期の1年枝の耐凍性の限界温度は-5°∿-6℃であった。5月上旬の新葉では-2℃でも害が認められた。萠芽期の品種間の耐凍性の差は展葉期の早晩によるところが大きいが, 展葉期の早晩と被害程度は必ずしも一致しなかった。4. 皮層細胞の浸透濃度と耐凍性の大きさとの間には季節変化においては平行関係が認められるが, 種間では平行関係は明かでなかった。
- 神戸大学の論文
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