藍染めに関する研究(第4報) : 藍発酵建てにおける仕込み時のアルカリ剤と混合方法の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
第3報では,藍発酵建てにおいて「藍液を初期の段階でしっかり建てる」というところに重点をおき,仕込み時の条件を検討した。今回は,さらに,より良い藍発酵建てを見いだすため,仕込み時にアルカリ剤として,灰汁を利用することができないか検討した。また,仕込み時の重労働を改善するため,〓を煮るという混合方法を利用することができないか検討した。1.仕込み時のアルカリ剤として,消石灰を用いても,灰汁を用いても,発酵過程においては大差はなかった。消石灰を減じて,灰汁を利用することができる。2.仕込み時の〓の混合方法として,築を長靴で踏む方法と,築を60℃まで煮る方法とでは,発酵過程においては大差はなかった。仕込み時に〓を60℃まで煮るという混合方法で,藍発酵建てが十分可能である。この混合方法では,仕込み時の重労働がかなり改善される。3.第3報の「藍液を初期の段階でしっかり建てる」諸条件に,今回の検討した結果をあわせて,「藍発酵建ての条件」をまとめる。藍発酵建ての条件(1)仕込み初日は,菓と少量のアルカリ剤(消石灰)と,60℃の熱湯または灰汁(築の量の2.4〜4.0倍程度)をよく混合し,1日放置する。混合方法としては,〓を60℃まで煮る方法が,かなり労力が軽減される。(2)仕込み初日のpHは11.0〜11.4程度にする。(3)仕込み初日の消石灰は,pHを測定しながら添加する。〓の状態により消石灰の添加量が異なる。(4)ふすまの添加は2日目にする。(5)仕込み後(3日目以降),消石灰はpHが9.4〜9.7に低下するまで添加しない。(6)仕込み後(3日目以降),pHが9.4〜9.7に低下しても,一度に多量の消石灰を添加しない。すなわち,急激にpHを高くしない。藍の華を浮かべるようになるまで,消石灰の添加量はできるだけ少量にし,消石灰添加後のpHは,9.9〜10.3程度になるように調整する。(7)一旦,大きな藍の華を浮かべるようになると,消石灰を徐々に加え,pHを10.5まで上げる。その後のpHは10.0〜10.5の範囲を維持するように調整する。(8)液温は25℃以上であれば,藍発酵建ては十分可能である。
- 1995-12-30
著者
関連論文
- 紅花染めにおける温度の影響(3)
- 紅花染めにおける温度の影響(2)
- 紅花染めにおける温度の影響(1)
- 藍染めに関する研究(第4報) : 藍発酵建てにおける仕込み時のアルカリ剤と混合方法の影響
- 藍染に関する研究 : ポリ容器(容量70l)使用による藍発酵建て
- 藍染に関する研究 : ポリ容器(容量15l)使用による藍発酵建て
- 紅花染めにおける紅花量の影響
- 紅花染めにおける黄色素の影響
- 藍染めに関する研究(第3報) : 藍発酵建てにおける仕込み時のpH・アルカリ剤と温度の影響
- さくら染め布の染色性 : 第1 報黄葉と紅葉の比較
- さくら染め布の染色性 : 第2報 抽出方法の違い