藍染に関する研究 : ポリ容器(容量15l)使用による藍発酵建て
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概要
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藍発酵建ては,普通,藍甕や藍瓶と称される容量の大きい染色槽でおこなわれる。しかし一般の家庭や学校の教室では,そのような甕や瓶を設置するのは不可能である。そこで,一般の家庭でも入手しやすいポリ容器を使用して,容量を小さくしても,藍発酵建てが可能かどうか検討した。1)藍発酵建ては,5種の方法でおこなった。液が建つまでの日数には,それぞれ差があったが,どの方法も,一応,藍発酵建てが可能であることがわかった。2)「灰汁・ぶすま建て」は,液が建つまでに相当の時間を要したが,建った後の藍液の状態は最もよく,3ヵ月経過してもまだ染色良好であった。3)「苛性ソーダ・ぶすま建て」,「苛性ソーダ・ブドウ糖建て」,「苛性ソーダ・灰汁・ブドウ糖建て」は,液が比較的早く建ったが,良い状態は持続しなかった。4)「炭酸ソーダ・ぶすま建て」は,液が比較的早く建ち,その後の藍液の状態もよく,「灰汁・ぶすま建て」に次ぐ良い状態で,3ヵ月以上染色可能であった。5)ポリ容器(容量15l)使用による藍発酵建てをおこなう場合の諸条件,及び注意事項(1)〓はできるだけ良質なものを使用しその使用量は,藍液に対して5〜10%とする。(2)藍液を良い状態で持続させるためには,アルカリ剤として灰汁,消石灰を使用するのが望ましい。(3)栄養源としては,ふすまがかなり優れている。(4)仕込み時のpHはあまり高くとらず,pH10.5〜11.5の範囲とする。その後のpHは,10.0〜10.5の範囲を維持するように,アルカリ剤,栄養源を添加する。(5)仕込み後,pHを急激に変化させてはいけない。従って,アルカリ剤,栄養源を添加する場合や,液量を増加する場合には,一度に多量に加えず,少量ずつ徐徐におこなう。(6)発酵建ての適温は30℃であるが,20〜40℃では大差がない。(7)1日1回,毎日藍液を攪拌する。
- 1989-03-20
著者
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