マツ類樹皮下穿孔虫キイロコキクイムシの初期攻撃(農学部門)
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概要
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パイオニア雌による寄主植物の選択, すなわち寄主体上への着陸と母孔の穿孔開始は, でたらめに行われるか, あるいは寄主が発散する揮発性物質(第一次誘引)に誘引されるかを明らかにする目的で, 大枝演習林内のアカマツ植生地において一連の実験を行った。1.雌雄は地上4m前後の高度を飛翔する。ただし, 林内よりも林縁における飛行高度のほうがやや高い。2.粘着トラップに捕獲された総成虫個体数は, 健全立木と激害型・微害型モデル立木とのあいだに有意差がみられなかった。すなわち, いずれの実験立木にも日当り約60匹が着陸するようで, パイオニアは健全木と衰弱木との識別ができない(ランダム着陸)。着陸後, 穿孔開始の段階で樹脂圧の高い健全木では松脂のしん(滲)出によって穿孔が阻止される。それに反して, 激害または微害型モデル立木では樹脂圧が皆無になったとき穿孔がみられる。ただし, シラホシゾウ類の既寄生があるときには樹脂圧が1.2kg/(cm)^2でも穿孔が可能であった。3.したがって, 本種のパイオニア雌は寄主に着陸後, その適否を判定し, 穿孔を開始するといえる。おそらくその時点では化学刺激を感知するのであろう。
- 京都府立大学の論文
- 1987-11-18
著者
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笹川 滿廣
Kyoto Prefectural University
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河口 洋一
Laboratory Of Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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笹川 滿廣
Laboratory of Entomology, Faculty of Agriculture, Kyoto Prefectural University
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