オオスカシバの相変異 II : 累代飼育における密度の影響(農学部門)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
クチナシの葉を食害するオオスカシバ幼虫の多型現象は幼虫期における生息密度に依存しておこり, また低温は褐色出現に影響を及ぼすことをさきに報告したが, 本実験では, 5令期幼虫体色, 発育期間および死亡率に及ぼす生息密度の累代的影響について検討した。その結果, 親世代の幼虫期における密度や5令期の体色型によって子世代の幼虫体色が決まるのでなく, むしろ子世代幼虫の発育初期における密度如何によって決定される。同一飼育密度を2代にわたって続けると, 子世代には黒化型幼虫の出現がやや増すが有意でない。それに反して, 同一密度での累代飼育によって, 子世代幼虫の発育は特に遅延し, 蛹の発育期間は著しく短縮する。さらに死亡率も累代的に増加する。しかし, 5令期幼虫の糞重量に及ぼす累代的影響はみられなかった。このように, 世代から世代への密度効果の伝達をみると, 幼虫期における環境条件に対する適応として多型が存在するといえる。
- 京都府立大学の論文
- 1969-10-15
著者
-
笹川 滿廣
Kyoto Prefectural University
-
笹川 満広
Laboratory Of Entomology Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
関連論文
- 東洋区のCraspedochaeta属クチキバエ(双翅目)
- ナモグリバエのマメ科植物に対する産卵選好性(農学部門)
- 日本産 Boletina 属キノコバエについて(農学部門)
- 台湾のハモグリバエ(農学部門)
- 東洋および太平洋地域産クチキバエ科に関する研究(農学部門)
- オオスカシバの相変異 II : 累代飼育における密度の影響(農学部門)
- 対馬産キノコバエ 5 種について(農学部門)
- 日本産ハモグリバエ科の研究(農学部門)
- 東洋区および太平洋地域のクチキバエ科に関する研究(第7報)
- 東洋区のシマバエ科(第5報)
- 日本産ハモグリバエ科ノート,5(農学)
- オオスカシバ Cephonodes hylas 幼虫の相に似た多型現象 : I. 幼虫体色および幼虫と蛹の発育に及ぼす生息密度の影響(農学部門)
- ハウス栽培植物の新害虫チビクロバネキノコバエについて(農学部門)
- 新熱帯区のハモグリバエ科(双翅目) : 第 5 報チリ国産の新種と未記録種(農学部門)
- 新熱帯区産ハモグリバエ科 : 第 4 報ペルー,ヴェネズエラ,ブラジルおよびボリビア産の新種と未記録種(農学部門)
- マツ類樹皮下穿孔虫キイロコキクイムシの初期攻撃(農学部門)
- 『虫の文化史』追補(農学部門)
- 日本産ハモグリバエ科の研究 (III)(農学部門)
- アカマツ穿孔ゾウムシ類の加害に関する一観察
- 果樹の訪花昆虫についての 2,3 の考察
- 日本産ハモグリバエ科ノート,(5)
- 東洋区産シマバエ科(又翅目)第4報 ラオスのシマバエ相(英文)
- 日本産 Penthetria 属の 1 新種