異なる地温下で発育した源助ダイコンの根部における空洞の発達

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盛夏にダイコンを播種すると,根部の中心が縦に空洞となるダイコンが多発する。ここでは根部の肥大に伴う破生間隙の発達とその消失プロセスを調べるため空洞が発生しにくい低地温下と発生しやすい高地温下で栽培した源助ダイコンを,播種後10,20,30日目に採取し,根部の首部から下部へ1cmごとに分取し,それぞれのパラフィン切片を作製し検鏡した。1.低温区の根長,根径,根重は播種後10日目の根径を除き,いずれの時期でも高温区と同じか,あるいはそれより大きかった。空洞はいずれの区でも播種後20日目までは認められなかったが,30日目になると空洞発生率は高温区で低温区の2倍となった。2.播種後20日目では,低温区,高温区とも中心柱に破生間隙が認められた。播種後30日目では低温区,高温区とも根部上部では破生間隙は認められなかった。低温区では根部の上半部に破生間隙が発達するが,この間隙はその後上部より順に下部へと大型の柔細胞により充填されることか観察された。その結果,根部の中央部よりやや上で小さな間隙が残り,中央部では少し大きくなり,下方にいくに従い小さくなった。一方高温区では破生間隙は根部の中央部から下半部にかけて発達するが,大型の柔細胞の増生が悪いため間隙の上部の一部分だけが充填されるにとどまった。その結果,根部中央部から下部にかけての残りの間隙は大きく発達した。このように,根部肥大に伴い破生間隙は播種後20日目ごろから発達するが,低地温下ではその後大型の柔細胞がよく増生するためこの間隙はその柔細胞て充填されていき空洞には発達しないのに対し,高地温などの不適環境下では大型の柔細胞がスムーズに増生されず,間隙は充填されないため発達し空洞となるものと考えられる。
石川県農業短期大学の論文

異なる地温下で発育した源助ダイコンの根部における空洞の発達

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