ダイコンの空洞発生におよぼす根部の,特に中央部の生育の影響
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概要
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ダイコンを盛夏に播種すると,根部の中心部に縦に空洞のあるダイコンが多発する。この空洞の発生機構を解明するため,空洞の発生しやすい山田ダイコンとしにくい吸込二年子ダイコンを空洞の発生しやすい高地温下としにくい低地温下で栽培し,生育,空洞発生,根部における道管の配列および根部の部位別の糖含量について調べた。1.葉重は山田ダイコン,吸込二年子ダイコンのいずれの品種も低地温区より高地温区でやや小さくなった。根径は両品種とも高地温区で小さくなった。播種後15日目でな低地温区と高地温区の差は小さかったが,30日目,45日目になるとその差は大きくなった。その結果,45日目の根重は,両品種とも高地温区では低地温区の約半分しかなかった。2.空洞の累積発生個体数は,山田ダイコンの低地温区では播種後15,30,45日目でそれぞれ1,1,3本であったが,高地温では1,2,7本と多くなった。一方,吸込二年子ダイコンでは,播種後45日目の1本を除き,その他では全く認められなかった。空洞の大きさは,山田ダイコンの高地温区の播種後45日目が69.4mm^2と最も大きく,それ以外は14.1mm^2以下と極めて小さかった。3.根部の道管の配列は,地温にかかわらず山田ダイコンでは吸込二年子ダイコンに比べ粗であった。特に,高地温下であっても,山田ダイコンは吸込二年子ダイコンに比べ道管の配列が粗であった。4.ダイコンの根部にはフラクトース,グルコース,スクロースの3種類の糖が含まれていた。低地温区では両品種とも,また高地温区では山田ダイコンで,外側部と中央部の糖含量がほぼ同じであったが,高地温区の吸込二年子ダイコンではいずれの糖も中央部で外側部の2倍以上の含量があった。以上より,高地温などの,根部の生育に不適環境下においては,山田ダイコンでは道管の配列が粗で,根部の中央部と外側部の糖含量が同じであることから,根部の特に中央部か肥大しやすく,その結果空洞が発生しやすいが,吸込二年子ダイコンでは道管の配列か密で中央部では外側部の2倍以上の糖含量かあることから,中央部か肥大しにくく,そのため空洞が発生しにくくなるものと考えられる。
- 石川県農業短期大学の論文
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