<論文>社会理論と地域社会
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概要
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「市民社会」をノルムとした社会理論の系譜において,「地域」はどのような理論的位置づけをもち得るのか。このような問題関心から,本稿では,社会学史の代表的見解としてA.ギデンズの社会理論を取り上げ,その眼目を整理した後,それに対して都市社会学的な観点からいくつかの批判的考察を試みた。批判の要点は,第一に,ギデンズの理論では都市化に伴う地域の解体が一面的に強調・前提される傾向があり,自治体を基盤としたそれに対する対抗作用を適切に取り込めていない。第二に,ギデンズに限らず,一般に近代社会理論の系譜では「個人」の自律(autonomy)が規範的指針とされるため,「世帯」を単位とした住民自治の動態を説明・評価するための視角や概念的手だてが不備な状態にある。いずれも学説史外在的な批判だが,現実の社会変動や民主主義の動態を理解する上で一定の理論的意義をもつ論点であると考える。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 1999-03-05
著者
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