<論文>金融商品の多様化と消費者被害 : 確定拠出型年金制度の導入を前に
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概要
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確定拠出型年金の導入議論が高まっている。政府・自民党は, その導入目処を2000年としているが, 一部企業の間では, 1999年4月からの導入が検討されている。具体的には, 米国の企業年金「401(k)プラン」および「IRA(個人退職勘定)」等が参考制度として位置付けられている。導入の暁には, 年金制度の分野にも金融商品性が介入することになる。ところで英国では, 確定拠出型年金をめぐる消費者被害が発生した。所謂「個人年金不正販売」に関する社会問題である。英国政府が公的年金から私的年金への制度移行の促進策として採用した税優遇措置^2について, 保険会社販売員や保険ブローカーらが, 極端な, あるいは欺瞞的な勧誘を展開したことが原因であるとされている。本稿では, まず, 確定拠出型年金制度の理解を深めるため, 主に米国の企業年金「401(k)プラン」の仕組みと現状を紹介する。そして, それらを踏まえ, 英国の事情を参考にしつつ, 金融商品の多様化による消費者被害とその救済の方法を考察するものである。
- 金城学院大学の論文
- 1999-03-20
著者
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山口 正久
金城学院大学消費生活科学研究所
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山口 正久
金城学院大学・家政学部
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杉浦 君代
金城学院大学・大学院人間生活学研究科博士課程後期課程
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杉浦 君代
金城学院大学大学院人間生活学研究科博士課程後期課程
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