<原著論文>互恵的利他行動文脈が記憶探索時間に及ぼす影響
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概要
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本研究では,互恵的利他行動の文脈における裏切り者の名前が,再発チェックのために効率的に検索されるのかどうかを検討した。16名の大学生が2セッションからなる実験に参加した。被験者には,第1セッションで互恵的利他行動が破綻する文章を読ませた。文章には,裏切り者と蔓切られる者,利害には無関係の中立者の3名が登場した(利害変数)。また,この文章読解では,被験者自身の名前が裏切られる者として登場するかどうかによって関与の有無を操作した(関与変数)。第2セッションでは,先の文章に登場した人物名かどうかを判断して選択的に反応する記憶探索課題を行った。もし裏切り者の検索過程が再発チェックのために効率化されるならば,その反応時間は少なくとも中立条件よりも短くなるはずであり,その程度は被験者自身に損害が及ぶと想定される場合の方が顕著であると予想された。実験の結果,関与有り条件では裏切り者に対する反応時間が中立条件よりも有意に短かったが,そのような差は関与無し条件では認められなかった。この結果は,先の予想を支持するものであった。
- 九州ルーテル学院大学の論文
- 2003-07-31
著者
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近藤 武夫
広島大学大学院教育学研究科
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岩木 信喜
九州ルーテル学院大学
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小坂 圭子
福山平成大学経営学部
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羽渕 由子
広島大学大学院教育学研究科
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岩木 信喜/小坂
九州ルーテル学院大学/福山平成大学経営学部/広島大学大学院教育学研究科/広島大学大学院教育学研究科
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