抑肝散加陳皮半夏が有効であった舌痛症の1症例
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概要
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明らかな原因を発見できない口腔内灼熱感のうち,痛みが舌に限られるものが舌痛症と定義されている.心理的要因が関与しているとされるが,発症の原因は不明である.今回,漢方薬の抑肝散加陳皮半夏(エキス製剤7.5 g中に半夏5 g,蒼朮4 g,茯苓4 g,川きゅう3 g,釣藤鈎3 g,陳皮3 g,当帰3 g,柴胡2 g,甘草1.5 gを含む)により痛みが軽減した舌痛症の1症例を報告する.患者は82歳の男性で,4年前に脳梗塞を発症し,その約1年後から舌の痛みが出現した.歯科で口腔内の器質的障害は否定されていた.脳梗塞の後遺症で歩行障害があり,患者はいらいら感や胃部不快感を訴えていた.また,舌に何か異常があるのではないかという不安を持っていた.漢方的診察により得られた証に随って,抑肝散加陳皮半夏7.5 g/日を開始した.内服開始7日後には,痛みの程度は数値評価スケールで8/10から4/10に軽減し,範囲も半減した.患者の証に沿った漢方薬の選択が,難治であった舌痛の緩和に繋がった.
- 2010-09-25
著者
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澄川 耕二
長崎大学大学院麻酔・蘇生科学
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澄川 耕二
長崎大学麻酔科
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境 徹也
長崎大学医学部・歯学部附属病院麻酔科
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澄川 耕二
長崎大学医学部・歯学部附属病院麻酔科
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境 徹也
長崎大学麻酔科
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澄川 耕二
長崎大学 医学部麻酔科学教室
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澄川 耕二
長崎大学 医学部 麻酔学教室
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樋田 久美子
長崎大学医学部学生
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澄川 耕二
長崎大学医学部麻酔学教室
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境 徹也
長崎大学医学部麻酔学教室
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北島 美有紀
長崎大学医学部麻酔科学教室
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澄川 耕二
長崎大学 大学院麻酔・蘇生科学
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樋田 久美子
長崎大学医学部麻酔科学教室
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北島 美有紀
長崎大学医学部麻酔学教室
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