フロン分解用リン酸アルミニウム系触媒におけるセリウムの助触媒機能の発現機構
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概要
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純粋なAlPO4は通常の沈殿法で調製すると1000°Cで空気焼成してもアモルファスで130 m2/g程度の大きな比表面積を持っている.これの焼成温度を上げてゆくと,1100°Cでは結晶子サイズが16 nm程度にやや結晶化して反応活性は向上し,1200°Cで焼成するとさらに結晶化が進行して活性は低下した.一方10 mol%のCeを添加したAlPO4触媒は,1000°Cで焼成したものが最高活性を示し,1100°Cで焼成した純粋なAlPO4と同程度に結晶化した.Ce添加触媒は1100°Cで焼成すると成分リン酸塩結晶がシンタリングし,活性は低下した.助触媒のCeはAlPO4の三次元networkを適度な大きさに切断することによって,純粋なAlPO4より100°C低い焼成温度でAlPO4の最適な結晶化状態を作り出していると結論した.両者をフロン濃度を高くして800°C,900°Cで加速劣化させたところ結晶化が進行してSSAは低下し,反応活性も低下した.比表面積ゼロに補外した活性(転化率50%になる温度)はAlPO4で587°C,Ce添加AlPO4触媒で467°Cであった.後者は比表面積が低下しても550°C程度で転化率100%となり,非常に長寿命な触媒であることが推定された.1000°Cで空気焼成したAlPO4を水蒸気で900°Cで処理すると,1100°Cで空気焼成したものと同程度に結晶化し,反応活性は上昇した.一方,Ceを添加したAlPO4触媒は1000°Cで8 h水蒸気処理してもCePO4の結晶のみがシンタリングし,AlPO4の結晶のシンタリングは抑制され,反応活性はやや上昇した.水蒸気処理はこれらの触媒の結晶化を少しだけ促進した.水蒸気処理すると長時間使用後は水蒸気処理を行わなかった場合に比べて活性が低下する可能性があることがわかった.塩素だけを含むCCl4,フッ素だけを含むCF4と両者を含むCCl2F2でAlPO4の加速劣化処理を行ったところ,CCl2F2の場合が最も結晶化が進行した.これはCCl2F2の分解ではAlとPの両元素について,昇華性を持つ塩化フッ化物が生成可能であることに起因すると推定した.
- 2009-11-20
著者
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滝田 祐作
大分大学工学部応用化学科
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瀧田 祐作
大分大学 工学部 応用化学科
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永岡 勝俊
大分大学工学部
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瀧田 祐作
大分大学工学部
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滝田 祐作
大分大学工学部
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田久保 剛
岩崎電気(株)
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佐藤 大悟
大分大学工学部
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稲尾 恭敬
大分大学工学部
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西口 宏康
大分大学工学部
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