醤油中における呈味成分の閾値に関する検討
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概要
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複雑系(食品中)において,直接的な効果だけでなく,他の成分との相互効果も含めてヒトに認知される変化を誘起するために必要な最少の呈味成分の添加量(複雑系における閾値)を明らかにすることを目的として,醤油をモデルとした試験を行った.その結果,その過程において以下の知見を得た.(1) 醤油原液の評価におけるぶどう糖の閾値は1.8%,MSGの閾値は1.9%である.(2) 豆腐へのつけかけ評価における醤油中の閾値は,ぶどう糖8.9%,果糖ぶどう糖液糖8.3%(v/v),砂糖4.8%,みりん7.1%(v/v),MSG 3.9%,核酸0.03%である.複雑系に対する甘味成分や旨味成分の添加効果は対象となる系が有する成分とは異なると,また,その成分を構成する糖の種類が豊富であるほど大きくなり,閾値が低くなる可能性がある.(3) 醤油中における呈味成分の閾値,すなわち品質の差を認識させるために必要な呈味成分の添加量はその評価系によって異なる(豆腐へのつけかけにおけるぶどう糖の閾値は醤油原液での評価の4.9倍,MSGについては2.1倍).したがって,呈味成分を添加した食品を開発する際には,その用途を勘案して品質の設計をする必要がある.
- 2009-07-15
著者
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今村 美穂
キッコーマン(株)・研究開発本部
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佐藤 常雄
キッコーマン(株)・研究開発本部
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畑本 修
キッコーマン(株)・研究開発本部
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佐藤 常雄
キッコーマン株式会社商品開発本部
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今村 美穂
キッコーマン株式会社研究開発本部研究開発第3部
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今村 美穂
キッコーマン 研究本部
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