血液透析患者の便秘(消化器症状)に対するクエン酸モサプリドの有効性について
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概要
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透析患者では消化管運動機能の低下により多くの患者で便秘が認められる.消化管運動改善薬であるクエン酸モサプリドは,下部消化管にも存在するセロトニン4のレセプター刺激作用を有するため,便秘の改善効果も期待される.血液透析患者の便秘に対する効果を検討した.対象症例は血液透析を受け,便秘を主とする消化器症状を有する30名.腹痛にて2名が脱落したため28例が解析可能であった.平均年齢61.8歳,糖尿病歴を有する患者14例であった.文書同意を得た後,1週間の観察期を置き,クエン酸モサプリドの投与を行った.観察期,投与後4週,8週において下剤の服用頻度,腹部膨満感,残便感,腹痛のほか,SF-36,GSRS(gastrointestinal symptom rating scale)を用いて評価を行った.統計解析はFriedman検定,Multiple ANOVAを用いた.下剤の服用頻度は軽度の低下を認めた.またGSRSでは総スコアは投与前2.09±0.75から4週後1.69±0.48,8週後1.68±0.75と有意に低下した(p=0.021,multiple ANOVA).GSRSの項目別解析では酸逆流において投与前1.96±1.20から4週後1.42±0.67,8週後1.48±0.87と改善(p=0.030,multiple ANOVA),便秘では投与前2.96±0.84から4週後2.19±1.02,8週後2.08±0.99と改善した(p=0.001,multiple ANOVA).他の解析項目では統計的有意差は認められなかった.クエン酸モサプリドは血液透析患者の消化器症状改善効果が認められることが示された.特に便秘の改善効果が認められ有効な治療選択肢となりうる.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2008-10-28
著者
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廣村 桂樹
群馬大学大学院生体統御内科学
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野島 美久
群馬大学大学院医学系研究科生体統御内科学, 血液・腎・リウマチ内科
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廣村 桂樹
群馬大学大学院生態統御内科学
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広村 桂樹
群馬大学 第三内科
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田村 茂生
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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野島 美久
群馬大学大学院医学系研究科生体統御内科学
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野島 美久
群馬大学大学院生態統御内科学
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中野 貴子
三思会東邦病院腎臓血液センター
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倉林 和隆
三思会東邦病院腎臓血液センター
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逸見 大造
三思会東邦病院腎臓血液センター
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加家壁 健
三思会東邦病院腎臓血液センター
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小畑 敬子
三思会東邦病院腎臓血液センター
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小林 さつき
三思会東邦病院腎臓血液センター
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植木 嘉衛
三思会東邦病院腎臓血液センター
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野島 美久
群馬大学大学院医学系研究科生体統御内科
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植木 嘉衛
三思会 東邦病院 腎臓血液センター
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加家壁 健
三思会東邦病院腎臓・血液センター
-
小林 さつき
三思会 東邦病院 腎臓血液センター
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廣村 桂樹
三思会東邦病院 腎臓血液センター
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倉林 和隆
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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野島 美久
群馬大学大学院医学系研究科 生体統御内科学
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廣村 桂樹
群馬大学大学院医学系研究科 生体統御内科学
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野島 美久
群馬大学大学院 生体統御内科学
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