腹膜透析導入を選択した骨髄不全症候群合併の腎不全患者2症例
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概要
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骨髄異形成症候群(myelodysplatic syndrome;MDS)を始めとする骨髄不全症候群(bone marrow failure syndrome)は,人口の高齢化に伴い患者数が増加している疾患群である.透析導入患者も年々高齢化していることより,今後,血液疾患合併の透析療法導入患者が増加することが予想される.血小板や白血球の減少,機能異常に伴う出血傾向や易感染性などのリスクが懸念されるが,腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)を選択し,継続した2例について報告する.PDカテーテル挿入術の際,事前の血小板輸血にて出血予防は可能であった.PD導入後,尿毒症や体液バランスが改善し,赤血球輸血の投与間隔延長効果が認められた.また,それに伴い患者の意欲や活動性の回復も得ることができた.血液透析(hemodialysis:HD)のように血管の穿刺や抗凝固製剤の必要がないPD療法は,血小板低値の出血傾向のある患者でも,輸血や造血促進因子製剤との併用で,継続可能と思われる.また,腹膜炎の危険を未然に防ぎ,PDを長期に継続できるよう,清潔操作の指導は,より重要と考えられる.一般に血液疾患は生命予後不良な疾患群であり,在宅で施行可能なPDは,患者のQOL改善の可能性も示唆される.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2008-02-28
著者
-
小磯 博美
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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若松 良二
相生会西片貝クリニック
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田村 茂生
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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倉林 和隆
三思会東邦病院腎臓血液センター
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加家壁 健
三思会東邦病院腎臓血液センター
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小林 さつき
三思会東邦病院腎臓血液センター
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植木 嘉衛
三思会東邦病院腎臓血液センター
-
内藤 美幸
相生会西片貝クリニック
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植木 嘉衛
三思会 東邦病院 腎臓血液センター
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加家壁 健
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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小林 さつき
三思会 東邦病院 腎臓血液センター
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倉林 和隆
三思会東邦病院腎臓・血液センター
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