赤芽球癆, 抗リン脂質抗体症候群の治療中に発症した中枢神経ループスの1例
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概要
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症例は48歳女性.心窩部痛にて当院を受診し,高度の貧血(Hb 4.6 g/dl)と左足背に紅斑を認めて入院となった.骨髄所見で赤芽球系の低形成を認め,赤芽球癆(PRCA)と診断した.また,左足背紅斑の病理組織所見で小動脈微小血栓を認め,IgG型β2グリコプロテインI依存性抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントが陽性で深部静脈血栓症の既往があることから,抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断.ステロイドパルス療法とワーファリンによる抗凝固療法を開始し,貧血および皮疹は改善した.ステロイド漸減中の5月頃より不安焦燥感,抑鬱気分などの精神症状が出現.抗リボゾームP抗体陽性で,中枢神経系ループスによる精神症状と診断し再度入院.ステロイドパルス療法にて改善せず,シクロフォスファミドパルス療法を追加したところ,精神症状の改善を認めた.PRCAとAPSの合併は非常に稀であるが,本例ではさらに中枢神経ループスを併発した点が特徴的で,いずれも自己抗体を介した免疫学的機序の関与が示唆された.
- 日本臨床免疫学会の論文
- 2006-02-28
著者
-
森口 正人
自治医科大学附属さいたま医療センターアレルギーリウマチ科
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西田 淳二
自治医科大学付属大宮医療センター血液内科
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村山 淳子
自治医科大学大宮医療センター 総合医学I
-
津田 篤太郎
自治医科大学附属大宮医療センター総合医学i
-
西田 淳二
自治医科大学附属大宮医療センター 総合診療科
-
淺沼 ゆう
自治医科大学附属大宮医療センター総合医学I
-
森口 正人
自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学i
-
森口 正人
自治医科大学大宮医療センター総合診療科
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