乳歯列期に正常咬合である小児の叢生発現の過程に関する縦断研究
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概要
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乳歯列期に正常咬合であり, かつ歯列弓に生理的空隙が認められた小児を, 永久歯列になった段階で叢生であったもの(叢生群)と叢生でなかったもの(非叢生群)の2群に分類した。二つの群の成長発達に伴う歯列弓の変化の違いについて, 歯列研究用模型を用いて縦断的に比絞検討を行った。結果は以下の通りである。1. 乳歯列期に正常咬合でありかつ歯列弓に生理的空隙を認めた小児のうち, 43.8% の者が永久歯列になった段階で叢生であった。2. 叢生群は非叢生群と比べて乳歯列の空隙の出現する部位が少ない傾向が認められた。3. 歯冠近遠心幅径は, 乳歯, 永久歯とも叢生群の方が非叢生群よりも大きい傾向にあった。また, 永久切歯の歯冠近遠心幅径の合計と乳切歯の歯冠近遠心幅径の合計の差も, 上下顎ともに叢生群の方が非叢生群よりも大きい傾向にあった。4. 上下顎ともに, 叢生群は非叢生群よりも, 犬歯間幅径の各年齢における値および4歳から12歳までの増加量が小さい傾向にあった。5. 歯列弓長径の平均値および変化量は, 両群間で差はみられなかった。また, 両群ともに歯列弓長径の増加量は, 犬歯間幅径のそれより小さかった。6. 混合歯列期に叢生である歯列は, 永久歯列になっても叢生であるものが多かった。以上より, 叢生の発見に関しては, 乳歯列の空隙量に加えて, 歯冠近遠心幅径, 歯列弓幅径の大きさおよび増加量, 混合歯列期に叢生であるかどうかについて着目すべきであることが示唆された。Children with normal occlusion and interdental spaces in deciduous dentition were divided into two groups, of those with crowding at the stage of permanent dentition (crowding group) and those without (normal group). Differences in changes in the dental arch that accompanied growth and development were compared using study 16 models.The results of this study were as follows:1. Among children with normal occlusion and interdental spaces in the deciduous dentition, 43.8% developed crowding at the stage of permanent dentition.2. The crowding group showed a tendency to have fewer sites of embrasure in the deciduous dentition than the normal group.3. The mesiodistal width of dental crowns in both deciduous teeth and permanent teeth tended to be larger in the crowding group than in the normal group.4. The intercanine width in both the maxilla and mandible at each age and its increment from age 4 to age 12 tended to be smaller in the crowding group than in the normal group.5. No significant difference between groups was seen in dental arch length in either mean value or variation. The increment of dental arch length was smaller than that of the intercanine width in both groups.6. Dentition that was crowded during mixed dentition mostly remained crowded in permanent dentition.The above suggests that regarding the occurrence of crowding, attention should focus on the mesiodistal width of dental crowns, the size and increment of dental arch width, and whether there is crowding in mixed dentition, in addition to the amount of interdental spaces in deciduous dentition.
- 日本小児歯科学会の論文
- 2006-12-25
著者
-
鈴木 淳司
広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻顎口腔頸部医科学講座小児歯科学
-
蔵本 銘子
広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座小児歯科学研究室
-
香西 克之
広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座小児歯科学研究室
-
蔵本 銘子
広大・院・小児歯
-
海原 康孝
広大病院・小児歯
-
財賀 かおり
広大・院・小児歯
-
香西 克之
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 小児歯科学研究室
-
海原 康孝
広島大学病院口腔育成歯科小児歯科
-
鈴木 淳司
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 小児歯科学研究室
-
財賀 かおり
広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頚部医科学講座小児歯科学研究室
-
中江 寿美
広島大学病院口腔健康発育歯科小児歯科
-
槇平 美夏
広島大学病院口腔健康発育歯科小児歯科
-
中江 寿美
特定医療法人大道会ボバース記念病院歯科診療部
-
海原 康孝
広島大学病院口腔健康発育歯科小児歯科
-
香西 克之
広島大学大学院医歯薬保健学研究院小児歯科学
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