ビール粕炭賦活物による有機物の液相吸着

概要

論文の詳細を見る
ビール工場から排出されるビール粕を原料として作成したビール粕炭に炭酸ガス賦活法，水蒸気賦活法，水酸化カリウム賦活法を適用し，ビール粕賦活炭を調製した．得られた3種類のビール粕賦活炭を用いてフェノール，メチレンブルー，1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジクロロプロパンの液相吸着特性について検討した．フェノールおよびメチレンブルーの吸着では，それぞれの吸着量は炭酸ガス賦活炭<水蒸気賦活炭<水酸化カリウム賦活炭の順に大きくなり，各種賦活炭の比表面積および全細孔容積の大きさの順と一致した．各種賦活炭のフェノールおよびメチレンブルー吸着量を比較すると，分子径の小さいフェノールの方が吸着量は大きくなった．1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジクロロプロパンの吸着でも同様に，それぞれの吸着量は炭酸ガス賦活炭<水蒸気賦活炭<水酸化カリウム賦活炭の順に大きくなった．各賦活炭の1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジクロロプロパン吸着量を比較すると，両化合物の分子サイズは類似しているにも関わらず，1,2-ジクロロプロパンの吸着量が1,2-ジクロロエタンの2倍以上となった．この相違は，両化合物の水に対する溶解度の違いに基づくものと考えられる．溶解度の大きい1,2-ジクロロエタンは溶媒中により安定に存在するため，吸着量が小さくなったと考えられる．
社団法人　化学工学会の論文
2006-09-20

ビール粕炭賦活物による有機物の液相吸着

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク