β線吸収式のSPM計のフィルターを用いたSPM高濃度時の元素状炭素粒子の広域観測
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
β線吸収式SPM計のテープ型フィルターを用いてSPM中の元素状炭素(EC)を分析する方法を検討し, これを用いて, 関東平野に初冬季に出現するSPM高濃度現象時のEC粒子成分の広域的な挙動のデータを得た。ガラス繊維製フィルターに含まれるアクリル・バインダーおよび有機エアロゾルを同時に効率よく除去するため, 熱的分析法のうち熱分解法を採用し, 従来法との分析結果の互換性を考慮して, He中640℃5分間の加熱の条件を採用した。ブランクフィルターを処理した後に残存する炭素量は, 同一フィルターロール内でも製品によっては大きなばらつきが存在することから, 当方法は初冬季などEC濃度が高濃度となる条件下のみでしか適用できないことがわかった。浦和およびつくばにおいて石英繊維フィルターに採取した大気粒子サンプルとの比較では, 両者の対応関係は良好であるが, β線吸収式SPM計のフィルターからの分析値の方が低く出る傾向がみられた。当方法を用いて, 1994年12月23〜25日に関東平野において出現したSPM高濃度エピソード時のEC地上濃度の二次元分布を調査した。多くの地点では18〜21時頃に急激な濃度上昇を示し関東平野中・南部を広く覆うECの高濃度領域が形成されるが, 時間の経過とともに高濃度領域が分裂し, 夜半には東京都心部では高濃度状態は解消される一方, 周辺部に高濃度域が取り残される状況が示された。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 1998-11-10
著者
関連論文
- 組成別SPM濃度シミュレーションモデルの開発と初冬季高濃度大気汚染への適用(II) : モデルの概要および予備的計算結果
- 組成別SPM濃度シミュレーション・モデルの開発と初冬季高濃度大気汚染への適用(I) : 発生源モデルの構築
- 1B1530 初冬季の高濃度SPMの組成別シミュレーション(5) : 発生源制御による高濃度低減効果の解析
- 2M02 初冬季の高濃度SPMの組成別シミュレーション : (4)常時監視局データとの比較
- 1I26 初冬季高濃度SPM中の有機炭素の挙動について : SPM組成別シミュレーションを用いた考察
- 1C1045 初冬季の高濃度SPMの組成別シミュレーション : (3)シミュレーション結果と課題
- 1C1030 初冬季の高濃度SPMの組成別シミュレーション : (2)拡散・反応・沈着のモデリング
- 南関東平野における初冬季の大気粒子状物質中の塩化物の挙動と起源
- 初冬季高濃度汚染時の粒子状物質の挙動 : 組成別濃度分布について
- 関東地方の冬季光化学反応によるNO_2大気汚染のシミュレーション
- 冬季・都市大気汚染層の外側に存在する高濃度O_3層
- 偏光ライダーによる東京都心の大気境界層の観測
- 東シナ海の三島嶼における東アジアからの大気エアロゾルの流れ出しの観測
- 広域・高時間分解観測による初冬季高濃度SPMの主要化学組成および水分影響の解析
- 都市の放射環境の航空機観測
- 関東地方の冬季二酸化窒素大気汚染のシミュレ-ション
- 大都市域における初冬季の高濃度大気汚染が都市気象に与える影響
- 会議概要
- 夏季の小笠原父島におけるエアロゾル粒子の粒径分布
- 小笠原父島における東アジアからの大気エアロゾルの流れ出しの観測
- 小笠原父島におけるエアロゾル粒子の粒径分布
- β線吸収式のSPM計のフィルターを用いたSPM高濃度時の元素状炭素粒子の広域観測
- 気候変動問題と人為起源エアロゾルの直接効果
- 「第4回エアロゾル国際会議」の報告
- トラジェクトリー解析による中部太平洋上で観測された大気中CO_2及びCH_4の濃度変動についての解釈
- 3F1145 パッシブ大気浄化材料の設置効果の数値シミュレーション
- エアロゾルと気候・気象--火山噴火,生物圏の応答,人為汚染のインパクト (異常気象とエネルギ-問題)
- 1C1015 初冬季の高濃度SPMの組成別シミュレーション : (1)概要と発生源モデル
- 関東平野における初冬季の高濃度SPM/エアロゾル汚染のモデリング(有害大気汚染物質の実態把握とモデリングの課題)