サツマイモ塊根におけるトリプシンインヒビター (TI) 活性の品種・系統間差異
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概要
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サツマイモ(Ipomoea batatas (L.) Lam)は家畜飼料として優れた作物であるが, 塊根中には抗栄養因子のトリプシンインヒビター(Trypsin inhibitor : TI)を含んでいる.本研究では, サツマイモ品種・系統のTI活性を調査するための簡易迅速測定法を開発し, 栽培品種(8品種)および育成途上系統(199系統)の分析を行った.測定は, 酵素としてブタ膵臓トリプシン, 基質としてBAPA (Benzoyl-D, L-arginine-p-nitroanilide)を用いて比色法で行う従来法の一部を改変し, 少量で多検体の分析が可能なマイクロプレートを用いる方法で行った.本法により, サツマイモの精製TI (Sweetpotato TI : SPTI)およびダイズの精製TI(ダイズTI)の活性を測定し作成した検量線は, 0-1μg(検体10μl中)の範囲で高い精度を示した(R^2=0.974 : SPTI, R^2=0.999 : ダイズTI).92検体(1マイクロプレート当たり)の分析に要する時間は, 試料抽出に30分, TI活性の測定に90分となり, 従来法に比べて大幅に短縮された.サツマイモの栽培品種のTI活性は, 65-392U/mg DW(平均 : 197 U/mg DW)の範囲であった.一方, 育成途上の199系統のTI活性は38-944 U/mg DW(平均 : 273 U/mg DW)の広い範囲に分布し, 栽培品種よりも著しく高いTI活性の系統が存在することが示された.これらの高活性系統の一部では, TI活性が家畜の耐性閾値を越える可能性があると推定された.
- 日本育種学会の論文
- 2005-03-01
著者
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外山 潤
九州沖縄農業研究センター
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吉元 誠
(独) 農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
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外山 潤
農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
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吉元 誠
農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
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山川 理
農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
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山川 理
(独) 農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
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