廃コンクリートを用いた新規な二酸化炭素固定プロセス

概要

論文の詳細を見る
廃コンクリートを用いた新規な二酸化炭素固定化プロセスを提案し，その実用可能性について検討した．プロセスの主反応は，廃コンクリート中のカルシウム分を二酸化炭素高圧下（数MPa程度）でカルシウムイオンとして抽出し，水溶液相のみを取り出し大気圧まで減圧することで炭酸カルシウムとして析出させる抽出反応である．取り出された炭酸カルシウムは，そのまま投棄する直接固定の場合と，セメント製造のための原料として用いることを想定している．後者の場合には，新たな石灰岩の採掘量の分だけ間接的に二酸化炭素を固定することになる．実験室レベルでの抽出反応速度の結果を基に，出力100MWの火力発電所からの二酸化炭素を用いて廃コンクリートを処理するプロセスを想定し，そのエネルギー消費量やコストを見積もった．その結果，二酸化炭素固定のために，発電量100MWあたり3.5MWの運転エネルギーが必要であり，コストは炭素1トンあたり約2,100円となった．この値は，他の二酸化炭素処理プロセスと比較して十分に小さな値であり，本プロセスの実用可能性が高いことが示された．
社団法人　化学工学会の論文
2002-09-20