直腸肛門狭窄を契機に発見されたHIV感染症(AIDS)の1例
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概要
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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症には直腸肛門病変を伴うことが比較的多いと言われており,直腸肛門病変から本感染症が発見される可能性がある.本症例は当初炎症性直腸肛門狭窄を疑い後に,後天性免疫不全症候群(AIDS)発症を来した免疫不全を基礎に生じた直腸肛門部lymphomaによる腫瘍性狭窄と判明した一例である.症例は58歳男性で,肛門部疼痛を主訴に来院した.指診上,直腸肛門部の壁硬化,狭窄を認め,画像診断とから当初痔瘻や膿瘍による炎症性狭窄を疑った.保存的に疼痛鎮静せず,切開排膿を試みた.しかし,全く排膿が得られず,硬結部の針生検によりlymphomaの結果が,またHIV抗体(+)の血液検査結果も術直後に判明しており,今回の病態が明らかとなった.今後本邦でもHIV感染症の増加が予想され,疑わしい場合はもとより通常診療において,HIV抗体測定の重要性は増してゆくものと思われる.
- 日本大腸肛門病学会の論文
- 2003-01-01
著者
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