脳と音楽認知の障害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脳の障害によって生じた音楽機能の障害である失音楽症 (amusia) のうち, 感覚性失音楽症の音楽認知の障害について, 従来の報告例および自験例から得られた知見について述べる.1) 音楽家の失音楽症にみられた音楽認知の障害の報告例では, 損傷部位は左の側頭葉と推定された.2) 一側の側頭葉切除例や脳血管障害例に行った音楽認知検査の報告や健常の大学生に行ったDichotic listening法による音楽認知検査の報告例などの結果から, 音楽機能は言語機能ほど一つの半球への側性化はみられていないこと, 音楽の認知に関しては両半球が関与していることが示唆された.3) 自験例の聴覚失認例ではいずれも音の強弱, 長短, 高低, 音色を正しく認知することができず, 音感が著しく低下しているため, メロディの認知も困難であったと考えられた.4) 音楽機能の障害を階層的にとらえるためには, 臨床的に有用な音楽検査の作成が今後の課題であると思われる.
- 日本音声言語医学会の論文
- 1996-10-20
著者
関連論文
- 重度麻痺性構音障害の小児1例における8年間の回復経過 : モヤモヤ病による脳梗塞後の両側前頭葉障害例
- 難聴を伴う重複障害児の補聴器装用指導 : 補聴器装用が困難であった症例の問題点と対応
- 前言語期における認知・コミュニケーション行動の発達評価チェック・リスト(試案)の作成
- Auditory brain stem response and speech discrimination in patients with auditory nerve disorders
- 左右聴皮質あるいは聴放射線損傷による聴覚失認症例の環境音認知
- 幼児を対象にした Oral diadochokinesis 検査における教示方法の検討
- 両側側頭葉聴覚皮質/聴放線損傷例における純音聴力閾値の経時的変化について
- 脳と音楽認知の障害