屈折計によるフライ油の熱劣化速度の検討 -フライ油熱劣化の法則-
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概要
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フライ油の熱劣化速度とそれに及ぼす諸因子との関係を屈折計を用いて調べた。一定条件下でのフライ油の劣化速度は熱安定性定数,気液接触面積,空気の酸素密度に比例し,フライ油の重さに反比例することがわかった(フライ油熱劣化の法則)。空気中の酸素密度は大気圧に比例するので,熱劣化速度式は次のように表わすことができる。<BR>dRI/dθ=k[S/W]・P/1013…(I)<BR>ΔRI=k[S/W]・θ・P/1013…(II)<BR>ここでRI:屈折率(20〜40℃), θ:加熱時間(h), k:熱安定性数(g・cm<SUP>-2</SUP>・h<SUP>-1</SUP>), S/W:比表面積(cm<SUP>2</SUP>/g),P:大気圧(hPa)である。ΔRI限界値(e.g.12×10<SUP>-4</SUP>又は25〜27%極性物質に相当するΔRI)が設定されれば,耐熱時間は(II)式から計算できる。kの範囲は180℃に於いておよそ0.5×10<SUP>-4</SUP>から5×10<SUP>-4</SUP>であった。フライ温度とkの関係は一例として,160℃, 180℃, 200℃でそれぞれk=2.3×10<SUP>-4</SUP>, 3.2×10<SUP>-4</SUP>, 4.8×10<SUP>-4</SUP>であった。仮に劣化限界を同じ又は一定レベルまでとするときは,次式が利用できる。<BR>k<SUB>1</SUB>[S<SUB>1</SUB>/W<SUB>1</SUB>]θ<SUB>1</SUB>P<SUB>1</SUB>=k<SUB>2</SUB>[S<SUB>2</SUB>/W<SUB>2</SUB>]θ<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>…(III)<BR>ここでk<SUB>1</SUB>W<SUB>1</SUB>S<SUB>1</SUB>P<SUB>1</SUB>とk<SUB>2</SUB>W<SUB>2</SUB>S<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>はフライ油の使用条件が互いに異なることを示している。
- 社団法人 日本油化学会の論文
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