<原著>急性心筋梗塞の経皮的冠動脈形成術におけるmutant t-PAの先行投与の有用性についての無作為比較試験(Combining Monteplase with Angioplasty Trial, COMA Trial)
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概要
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急性心筋梗塞発症後早期に閉塞冠動脈の再灌流により充分な血流(TIMI 3)を得ることは短期および長期予後を決定する。この治療方法としてCOMA(Combining Monteplase with Angioplasty)Trialは冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)実施前にmutant t-PA(monteplase)の通常量単回静脈先行投与の有用性を検討する前向き無作為試験である。1998年9月から2002年12月までの急性心筋梗塞299例中規定に合った126例がPCI前にmonteplaseを投与しない対照群(P群 : n = 68)とmonteplase(27,500 IU/kg)を先行投与した群(M群 : n = 58)とに無作為に割付けられた。PCI前の初回冠動脈造影でTIMI3が得られたのはP群で7%,M群で34%であった(P<0.0001)。出血性合併症はM群で1例のみであった。左心機能は1ヶ月,6ヶ月後の追跡調査でM群とP群で有意差はなかった。しかしM群をPCI前に早期再灌流されたTIMI3群とTIMI2以下群とに分けて比較すると,6ヶ月後の左室拡張終期容量はTIMI3群ではTIMI2以下群に比べ有意に低値であった(70.1 ± 3.3ml/m^2 vs 86.8 ± 3.5ml/m^2, P<0.01)。また左室駆出率はTIMI3群ではP群に比べ有意に高値を示した(64.4±2.7% vs 58.1±1.3%, P<0.05)。冠動脈病変については責任病変部の最小血管径(MLD)はPCI直後よりM群で有意に大きく,6ヶ月後まで持続していた。晩期損失径(late lumen loss)は,M群0.57 ± 0.10mm,P群0.80 ± 0.10mmとM群で少ない傾向を示した(P = 0.0611)。以上の結果より急性心筋梗塞発症時におけるPCI前にmutant t-PA(monteplase)の通常量の単回静脈注射先行投与は,より早期の再灌流が可能であり,安全で6ヶ月後の心機能を維持し,再狭窄の予防にも有用である。
- 2003-07-25
著者
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