ITで生産性を高めるには何が必要か (特集 日本経済の成長)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本経済には人口減少という「引き潮」だけでなく、IT(情報技術)革新という「上げ潮」も押し寄せている。確かに人口動態は成長力に影響するが、それが全てというわけではない。10%程度成長していた高度成長期をふり返っても、総人口や生産年齢人口の増加率はわずか1%台に過ぎなかった。この差を埋めるのが生産性であり、最近では、小泉政権下で改革が推進された2001年から2005年までの期間に、生産年齢人口は減少したが、生産性の回復によって経済成長力が高まった実績もある。 その生産性への影響力を強めているのがITだ。10年前の米国では、ITを導入しても生産性が向上しないという「ソロー・パラドックス」とそれが解消して新たな成長経済に入ったとする「ニュー・エコノミー」の論争が繰り広げられたが、現在では、ITで米国経済の生産【生が1%から1.5%程度加速したとのコンセンサスが得られている。 巨額の財政赤字と国際競争力の低下で衰退を懸念された米国経済がその困難を克服したように、日本経済がIT革新の波にうまく乗れるならば、1%台後半とされる潜在成長力をさらに1%以上加速させることが可能かもしれない1。そのために何が必要か、本稿では、日本経済の実態を概観した後、ITで生産性を高めるための課題と可能1生を考察する。はじめに もうひとつの「生産性パラドックス」日本型システムとITの親和性技術変化の背後で進む経済性の変化メディア融合と「つながり力」おわりに
著者
関連論文
- IT関連産業の経済波及効果 : 産業連関表による1990年から2005年までの分析
- 企業投資と日本経済の中期成長率 : 情報技術への投資加速を織り込んだシミュレーション
- 生産性の歴史と国際比較 : 人口減少下の2030年を展望するための基礎的考察
- 「情報ネットワーク産業」の経済波及効果--産業連関表による1990-1995-2000-2004年の計測と自動車産業との比較
- 国際比較による企業改革とIT導入効果の実証分析--アンケート調査結果のスコア化による日米独韓企業の特徴
- ICT関連経済指標を用いた景気分析--成長と循環の枠組みから
- 成長会計モデルによる日本の労働生産性と情報資本の寄与 : 日本にソロー・パラドックスは存在したか?(III 国際経済経営)
- 座談会 IT化進展の検証・展望--構造改革評価報告書3をまとめて (特集 IT化進展の検証・展望)
- 日本企業の業務・組織・人材改革と情報化の効果に関する実証研究--全国3141社のアンケート結果に基づくロジット・モデル分析
- ITで生産性を高めるには何が必要か (特集 日本経済の成長)
- Simulating Japan's Alternative Growth Paths: Production Function Model Analysis on the Impact of Information Technology
- Japan's IT puzzle: neither a solow paradox nor a new economy
- 「経営改革」と「情報化の効果」に関する企業規模別実証分析 (「IT投資リターンの測定と向上」特集号)
- ユビキタス時代の情報技術と経済--分析の枠組みと研究の展望
- 検証 生産性論争--ソロー・パラドックスからニュー・エコノミー論へ(第4回)解消されたソロー・パラドックス
- 検証 生産性論争(3)過熱するニュー・エコノミー論
- 検証 生産性論争(2)自明視される生産性の上昇
- 検証 生産性論争(1)表舞台に登場した「情報」の経済学
- ITが迫る日本型システムの改革 (特集 IT革命と日本経済)
- IT導入にともなう企業改革は効果をあげているか? : 日米独韓4カ国企業計1,260社へのアンケート調査による国際比較分析
- 通信産業における設備投資の経済効果分析--生産・雇用誘発力と外部効果の計測