既存研究の整理による日本の森林の多面的機能に関する現状と課題--特に地球環境保全機能、水源かん養機能に着目して
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概要
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国民の森林に対する要請を受け、林野庁は森林の多面的な機能の持続的な発揮を図る政策を強めている。中でも、地球温暖化防止に対する森林の働きや水資源のかん養に資する森林の働きに対しての国民の期待は大きい。本論では、森林の多面的機能の中でも、特に地球環境保全機能、水源かん養機能の2つの機能に着目して、まず、既往研究の動向の概要整理をおこない、さらに、2つの機能が既往研究の成果によってどの程度解明されているのかをレビューにより明らかにした。最後にそれらを踏まえて行政分野でどのような取組みが求められており、今後どのような研究や知見が必要とされているのかに関する考察をおこなった。その結果、地球環境保全機能においては、森林の樹木や土壌に蓄えられた炭素量、又はその吸収や放出をより正確に測定し、森林資源データの信頼性の向上に努めることや、GIS技術などを活用して森林資源データを管理し、広域に観測できるシステムの向上に努めることが重要であることが示唆された。また、水源かん養機能においては、機能を簡潔に表現するためのシミュレーションモデルの構築などや、流域全体でおこなわれている水資源のかん養の中で、森林はどのような役割を持っているのかなどの課題に取組むことが重要であることが示唆された。
- 森林総合研究所の論文
- 2006-03-00
著者
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- 森林医学, 森本兼曩・宮崎良文・平野秀樹編, 朝倉書店, 2006年5月, 370ページ, 6,825円(税込), ISBN4-254-47040-1(ブックス,Information)
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- 上原巌著, 森林療法のすすめ, コモンズ, 2005年7月, 157頁, 1,680円, 4-86187-008-9