玄米,大麦および製茶加工残さの混合給与における玄米配合割合が夏季の肥育後期豚の飼養成績と肉質成績に及ぼす影響
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概要
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本研究では,自給飼料原料として大麦の配合割合を15%,製茶加工残さを1%に固定し,玄米の配合割合の違いが暑熱条件下における肥育後期豚の枝肉,肉質等に及ぼす影響を調査した。供試豚は,LWD 去勢豚を用いて,コンクリート平床豚房で各試験区6頭(3頭群飼,2反復)を暑熱期に肥育した。トウモロコシの代替として 2 mm 以下に粉砕した玄米を利用し,玄米を0,10,20,40%にそれぞれ配合した米0%区,米10%区,米20%区,米40%区の4区を設置した。供試豚の肥育後期開始時体重は平均70.9 kg(117日齢)で,110 kgに達した時点でと畜して,枝肉調査,肉質の理化学特性の分析を行った。発育成績について,有意差はみられなかったものの,玄米の配合割合が多いほど飼料要求率は低い値となった。枝肉成績について,枝肉歩留りは米10%区が米0%区と比較して有意に少なく,米20%区,米40%区においても低値を示した。背脂肪厚(背)は米0%区と比較して米10%区で有意に薄くなり(P<0.05),米20%区,米40%区においても低い値となった。肉質成績について,剪断力価は米40%区が米20%区と比較して有意に小さくなった(P<0.05)。保水力,脂肪融点などに顕著な差は確認されなかった。また,背脂肪内層の脂肪酸組成について,パルミチン酸は米40%区が他の試験区と比較して有意に高く,オレイン酸も米40%区が米0%区および米10%区と比較して有意に高くなった(P<0.05)。ロース肉中の遊離アミノ酸含量に顕著な差は確認されなかった。肥育豚の酸化ストレス指標について,玄米を20%以上配合することで,有意差はみられなかったものの暑熱環境下での血漿抗酸化能の低下は抑制され,ロース肉中の過酸化脂質(TBARS)は低値を示した。以上の結果から,肥育後期飼料で,大麦を15%,製茶加工残さを1%に固定し,玄米の配合割合を40%まで増やしても飼養成績,肉質成績に悪影響を及ぼさず,脂肪内層中の脂肪酸組成が変化することが確認された。
- 日本養豚学会の論文
著者
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脇屋 裕一郎
佐賀県畜産試験場
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河原 弘文
佐賀県畜産試験場
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大曲 秀明
佐賀県畜産試験場
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宮崎 秀雄
佐賀県茶業試験場
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明石 真幸
佐賀県茶業試験場
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永渕 成樹
佐賀県畜産試験場
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卜部 大輔
佐賀県畜産試験場
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松本 光史
(独)農業·食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター
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井上 寛暁
(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター
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