肝紫斑病との鑑別が困難であった肝血管肉腫の1剖検例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は73歳女性.糖尿病性腎症にて維持透析中の患者で,大動脈弁狭窄症術後の経過観察目的で当院心臓血管外科に通院していた.経過観察中に施行した腹部単純CT検査上,肝S1, S7に約2 cm大の多発性腫瘍を認めたため,当科を紹介受診した.腹部血管造影検査の所見より肝紫斑病と診断して経過観察していたが,9カ月後に腹腔内出血を認めて緊急入院となった.保存的治療を継続したが肝不全の進行により第29病日に死亡した.病理解剖を施行したところ,肝血管肉腫の診断であった.肝紫斑病は良性疾患であるが肝血管肉腫は確立された治療法のない予後不良の悪性疾患であり,治療方針も根本的に異なる.両者とも肝腫瘍の鑑別に含まれる疾患であり,生検によるリスクは考えられるが可能な限り病理学的に確定診断をつける必要があると考えられた.
- 一般社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
-
水上 健
横浜市立市民病院内視鏡センター
-
今村 諭
横浜市立市民病院呼吸器科
-
諸星 雄一
横浜市立市民病院消化器内科
-
藤田 由里子
横浜市立市民病院がん検診センター
-
角田 裕也
横浜市立市民病院消化器内科
-
伊藤 剛
横浜市立市民病院消化器内科
-
長久保 秀一
横浜市立市民病院消化器内科
-
小松 弘一
横浜市立市民病院
-
大野 恵子
横浜市立市民病院消化器内科
-
福田 知広
横浜市立市民病院消化器内科
-
堤 菜津子
横浜市立市民病院消化器内科
-
田村 寿英
横浜市立市民病院消化器内科
-
小池 祐司
横浜市立市民病院消化器内科
関連論文
- 39.多発性斑状影で再発し,鑑別に苦慮したmucinous BACの1例(第149回日本肺癌学会関東支部会)
- 上部消化管出血に対する新しい内視鏡下止血法 : アルゴンプラズマ凝固法の有用性について
- Sweet病を合併した食堂癌の1例
- I-E-7 大腸鏡による過敏性腸症候群の腸管運動評価と治療への応用(消化器2,一般口演,情動ストレス研究の進歩と心身医学,第49回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)
- 肝動脈化学塞栓療法後に Clostridium perfringens による敗血症から急性溶血を合併して突然死した肝細胞癌の1剖検例
- Present States and Measures of the False Negatives with Malignant Tumors on the Abdominal Ultrasonographic Mass Survey in Institutional Cancer Detection
- A Study on Actual Status and Prognosis of Pancreatic Carcinoma in Institutional Cancer Mass Survey by Ultrasound
- PS-352-4 当院・関連施設における進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療の成績(PS ポスターセッション,第113回日本外科学会定期学術集会)
- Cyst in cyst 様構造を呈し診断に難渋した macrocystic type 漿液性嚢胞腺腫の1例
- 管腔外発育形態を示した胃Gastrointestinal Stromal Tumorの2例
- 肝紫斑病との鑑別が困難であった肝血管肉腫の1剖検例